平成23年4月30日
財団法人寿崎育英財団奨学生の皆様へ
理事長   寿崎 肇

奨学生の方からの近況報告は東日本大震災についてのお考えなどが主なものでした。
3月の初め、まだ東日本大震災などの前に奨学生の方からこんな近況報告を頂きました。九州地方は阿蘇霧島などの火山、そして四方海に囲まれた地域です。自然の威力に屈する前にNPO法人などのものの準備が必要ではないか、と調べました処、その県では災害援助に関する認定NPO法人が一つもなかった、と。理由は日本の寄付税制が各同に比べ不十分、それに国民の寄付に対する意識の低さは米国の100分の1程度の個人寄付額です、と。
この奨学生の方は予期せぬ災害では、人間として、当然お節介すべきで、災害復旧に関する「市民レベルの活動案」を作りました。そしてその実行の可能性を考察しました。しかしそれから、どうすれば良いか、アポ待ちの状態だ、と。名案がございましたら財団の松下までお知らせ下さい。

 これを読まして頂き寿崎育英財団に何か出来るか、を考えました。残念ながら答えの出ないままに3月11日を迎えました。この方は医学生です。この奨学生の方の先見の明には驚きました。ありがとうございました。
 次に奨学生の方はこんなにお書きになっておられます。自分は将来自分で造園会社を創立し、今まで自分がして頂いたことに、ご恩返しとして仕事を通じ又仕事以外にも手を差し伸べてあげたい、とおっしゃっておられます。

 又こんな奨学生の方の想い。震災の画面を見ながら生きていると信じ帰りを待つ被災者、どんな絶望的な状況でも諦めない姿勢こそ人間は大切。そして被爆の可能性があっても危険を冒す使命感。精神的にも極限状態の中で作業に当たる方々の勇気と正義感に感動しました。そしてご自身で決意したことは少しでも世界を変えられる人間に、そして堂々と自信をもち胸を張って生きていける人間に成長したい、と。お父さんお母さんも、さぞお喜びになられるだろうと思いました。

 次の奨学生の方。研究は失敗の連続です。その失敗の中から重要な情報をまとめ、次の研究に生かす。この1年間化学の研究に携わり研究の奥深さを知りました。大学院の今からの2年間精いっぱい実験に励み、1つでも成果を残したい、と抱負を書いておられました。そして卒業式では成績優秀者として工業部長より表彰されました。そしてご両親兄弟皆様のお陰と感謝なさる姿を読まして頂き若いときの苦労は買ってでもせよ、との諺を実践なさった方。30年後が楽しみなお方。

又こんな近況報告も頂きました。今回の東日本大震災で青森県出身の妻の家族の無事は確認出来ました。しかし、未だ連絡のとれていない方が、たくさんいます。岩手、宮城、福島の三県には学生時代に苦楽を共にした仲間達や知人も多くいます。今は唯々無事であることを祈るばかりです。今からお仕事に携わることについてのお話は医療介護の世界に奉職する以上すべての人に対して平等に応答する必要がありますが、ケアの関係が深まれば深まる程排他的な関係が生まれる危険性を学んでいる。このケアの深まりと平等性は両立し得るか、これが私の博士論文テーマ、とおっしゃっておられます。

司法試験に向けて勉強中の奨学生の方のお話。司法試験に合格なさった先輩の弁護士の方の助言は自分の1日を1日の終わりに書き込むこと、自分を客観的に見ること、今日1日自分が勉強に打ち込んだ時間数を出す。どの科目にどれ程力を入れたかを書き込んで見直すことで、明日の計画1週間の計画を作って、勉強のバランスや優先順位をつけて勉強するようになりました。学生さんの場合は時間が問題で素晴らしいなと思います。経営の場合は行き当たりバッタリではありませんが時間は相手から取られます。特に朝考えて準備することは今日やるべきことを重要の順番を決めて10個位準備しますが10の内2つ位自分の時間で解決しますと大体8割の仕事が出来たようでした。俗に二ッパチの法則(2:8)など、とうそぶいていました。この奨学生の方のやり方だったら、もっと効率があがっただろうと思いました。残念でした。

 奨学生でお子様を持つお母さんの学生の近況報告は東北地方の方の被災を見る度に心がすごく痛んでどうしようもありません、と自分自身にも何かのメッセージが伝えられているような気持ちになり、焦りの気持ちに苛まれます。私は子供と二人きりで仕方ありません。学生としての自分。我が子に若しものことがあったら、ともっていきようのないお気持ち。お子様がご無事に育ち奨学生のお母さんがご立派なお仕事をなさって、共々にお幸せであることを心よりお祈りするばかりです。

次の方は東日本大震災について、ご自分のお気持ちの持っていきようのないお手紙です。
この悲惨な災害は天災であるというより人災である。この出来事で日本の今まで便利さだけ、利益だけを求めた人間として、失ったものに気付いて新しい日本を復興することが、多くの方々犠牲者の方々の御霊を静めることになるのではないか、と思います、と。

理事長により若輩の私が意見を述べることは、大変お恐れ多いことですが書かずには居られません、と。誠に頼もしい日本人でございます。日本を憂う気持ちは寿崎育英財団奨学生の皆様お気持ちです。唯々有難いことでございます。
奨学生130名の方々の近況報告は感激に打震えながら読ませていただきました。
心から御礼申上げます。ありがとうございます  合掌    寿崎 肇


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