平成28年3月31日
公益財団法人 壽崎育英財団の奨学生の皆様へ
理事長   寿崎 肇
 

3月の近況報告を頂きありがとうございました。2月に頂いたものです。 卒業の方が昨年から忘れられない事や就職、進学について報告がありますが、1月に行われた奨学生指導会の役員の先生方のお話に感動した事と今後に役立てようと決意の報告。同じ他大学の奨学生の近況報告を読ませて頂きながら、先生のお話を自分流に受け止めたお話には私自身会場でお聞きした時より勉強になります。自分の将来に活かしていこうとする強いというより激しい意欲に、私は感動するばかりです。では早速近況報告を写させて頂きます。

○先日は素晴らしい激励会に招待(奨学生指導会のこと)して頂き、ありがとうございました。人生の先輩方の貴重なお話を聞くことができ、自分の日々の生活を反省したり、新たな考え方や方法を得たりと、とても実りの多い時間を過ごすことができました。私が最も心に残ったのは、夢についてのお話です。夢実現のために夢までの道を想像し、すべきことを挙げ、目標をもち、日々その達成に励むことが大切だとおっしゃいました。そしてさらにその為には数値化していくという有効な方法を学びました。私の夢は保健師か看護師、もしくは大学で看護学の研究に携わりたいと思っています。そして地域の保健医療に貢献したいと考えています。そのためには人数制限のある保健師コースの選択に残るために、学業の成績を上位に保つ必要があります。今後の専門の授業では優以上、つまり80点以上の成績を収めることを目標にします。毎日の授業で習得したことを整理し、復習する習慣をつけます。また大学教員になるために大学院への進学を視野に入れ、院試で必要となる英語の勉強を自分で進める必要があります。まず、TOEIC600点を目標に毎日30分は英語の学習する時間をつくりたいと思います。このように考えることで、自分の夢に近づくためには小さな努力の継続が不可欠だと分かり、日々の生活の励みになりました。2年生からは本格的に専門の授業が始まります。初心を忘れずに学業、部活動共に励んでいきます。

とおっしゃっておられます。この奨学生の方の夢は必ず叶う、達成すると思いました。素晴らしい方です。今大学1年生の方、このような決意での毎日であれば大学院は勿論、大学教員は必ず成し遂げる方だと思いました。それにしても奨学生指導会で役員の先生のお話でこのように決意なさる奨学生方に、私としては壽崎育英財団の運営をさせて頂くことに大変歓びを感じます。有難いことでございます。この方をはじめ、奨学生の方々ありがとうございます。


次の奨学生の方は大学院修了や就職活動などなど1日24時間では足りない方です。昨年ご自身の人生で残念なこと嬉しかった事など、とりまぜて報告を頂きました。では、

○10月に台北(台湾)で開催された国際的な電気化学の学術会議に参加致しました。この学会には世界的に著名な電気化学の研究者の方々が参加し、最新の研究成果を発表しあい、活発な議論が行われました。約1週間にわたるこの学会の中で、私は英語での口頭発表・ポスター発表をそれぞれ1件ずつ行いました。学生として口頭発表をする者は少なく、聞き手は自分と同じか、または類似した分野の研究を行っている有名な先生達ばかりですので、発表前は非常に緊張しました。日本国内にいた時には既に発表資料や話す内容はできていたのですが、念には念を入れて準備致しました。発表当日は閉館した会場にいち早く入り、自分の発表時間のセッションが始まる前まで人気のない屋上付近でずっと声を出しながら発表練習をしました。そしてむかえた発表の時には、多少緊張しながらも自信をもって発表できました。最も恐ろしい質問の時間には外国の先生から質問を受けました。質問の英語の意味を理解して、それに対する英語の答えを瞬時に伝える難しい作業ですが、練習の甲斐あってかジェスチャーを混合させながら冷静に答えることができました。発表後、司会のフランスの先生からクリアボイス(奇麗な声だね)とお褒め頂いたことが、とても印象的でした。世界的な視野をもって研究を進めているという感覚を養い、この学会に参加できて本当に良かったと思います。学会参加後は掲載拒否された私の論文を修正するための再実験を行い、約2週間かけて論文を別の学術雑誌に投稿することができました。その2週間後、論文の査読が行われた後の掲載可否を知らせるメールが届きました。結果はダメで、大幅な修正が要求されました。私はそれにめげることなく要求された修正をひとつずつこなし、また2週間後に論文を再投稿しました。そして1ヶ月の再査読が行われた後、ついに論文の掲載が決定しました。最初の実験を行った日から数えると既に1年以上が経過していました。途中、何度も諦めかけましたが、一生懸命頑張り、掲載許可を勝ち取りました。自分で努力して書き上げた論文ですので、非常に感慨深いものになりました。博士修了へ向けた手続きや就職活動の経緯に関しては奨学生指導会の時にご報告させて頂ければ幸いです。

とおっしゃっております。
近況報告を書き写しており何度も掲載拒否され論文の掲載が決定しました、という時、誰も居ない書斎で立ち上がって拍手をしました。嬉しかっただろうな、と自分のことのように私自身嬉しゅうございました。奨学生指導会には万難を排して出席し参加の奨学生に、又先生方に胸をはって報告して下さい。ありがとうございました。


次の方は教えることが自分の勉強につながるのと教授が自分の為に時間を使って下さることへの感謝とその分を後輩に教える時間を割く。しかし教えるとは伝えることの難しさで自分の力のなさを反省しておられます。昨年からの学会でのお話です。では、

○今回の学会で前回と大きく異なった点は指導する後輩がいたことではないかと思います。前回の学会では研究室の後輩も数名発表した為、後輩の発表内容の確認やデータ、要旨の添削など普段、私自身が教授から受けている指導を後輩にするということをしていました。大学院生として後輩の面倒を見ることは想像以上に難しくもあり、同時に教えることで研究発表の構成や内容の説明を客観的に見ることができ非常に多くのことを学ぶことができました。また自分のことを後回しにしてでも後輩の指導を優先していたためなかなか自分の研究を日中の行うのは難しかったのですが、これまで教授が私にしてくださった指導もこうして教授の時間を割いて頂いて、私のために時間を使っていて下さっていたのだと教える側の立場を感じることができました。これまでのご指導について、その有難みを実感することができ先輩として私も後輩にきちんと指導してあげたいと強く感じました。しかし教えるということはそう簡単なものではない、と改めて感じました。今回の学会に向けて後輩に様々なことを教えたり、伝えたつもりでしたが、それが思うように伝わらないことも多く、とても悩んだ時期もありました。「教える」と一言で言えますが、本当に伝える力をつけることの難しさを痛感し、自分の力の無さを強く感じました。自分もまだまだ勉強不足なのだと自分を振り返る機会にもなり、同時に普段の教授のご指導の有難みも知り、多少きつい時期もありましたが、本当に多くのことを私自身が今学会を通して学べたと思います。これからも教授の教えやご指導に感謝しつつ、私も後輩に学びを還元してあげられるよう、努力していきたいと思いました。さて本題の学会発表についてですが、今回の発表は良い意味で私に驚くほど緊張感がなかった様に思います。口頭発表だったのですが落ち着いて発表ができ、自分にとっても手ごたえのある学会でした。今学会を通して後輩への指導や自分の研究をいかに分かり易く伝えるか。など新しく学ぶことが多くありました。ここで学んだことを、次の学会への糧とし、また後輩指導へも力を入れていきたいと思います。この1年を振り返ると本当に様々なことがありました。大学を卒業し、管理栄養士の国家試験に合格したこと。大学院に進学したこと。大学院生として後輩に実験などの指導をしたこと。たくさんの学会に参加したこと。など書きあげられない程の多くのことがありました。そのすべてのことにおいて壽崎育英財団のご支援と激励があったからこそ叶ったことであると思います。

とおっしゃっておられます。
教授が貴重なご自身の時間を私だけに使ってご指導を頂く有難さ、そのご恩かえしを兼ねて後輩に教える難しさを体験した喜びなど報告でございました。貴重なお話ありがとうございました。


次の方です。

○昨年の大きいイベントとしては京都賞の講演会と研究室の同期の人の研究のお手伝いの2つがあります。京都賞は稲森財団の設立者である稲森和夫さんによって発足された賞であり、毎年、先端科学部門、基礎科学部門、思想・芸術部門の計3部門があり、それぞれ1人あるいは1団体が選ばれます。今回は本年度受賞された3名の方による講演会が稲森さんの郷里鹿児島で行われました。どの方も各分野で世界をリードされている方々で、どのお話も興味深いものばかりでした。特に印象に残ったのは、基礎科学部門で受賞されたジュネーブ大学のミシェル・マイヨール名誉教授のお話でありました。内容は、宇宙に関する話題で、彼の研究によって初めて太陽系以外の惑星の存在が実証されました。これにより、この分野での研究が大いに発展しているとのことでした。実際に、地球以外の星でも、生命体が住んでいる星の存在の可能性が大きく現実味を帯びているということであり、映画のSFのような世界が本当に現実になる日もそう遠くないのではないか、とワクワクしながら話を聴いていました。世界のトップで活躍されている人々の話を聞く機会というのは、あまり多くはありませんので、今回のような講演会は大変有意義なものになったと感じております。同期の人の研究のお手伝いについて福岡県飯塚市の建設会社の現場で行われた実施施工にも参加し手伝いをしました。実施内容は未利用資源であり、鹿児島に多く堆積しているシラスと産業廃棄物である廃石膏を用いた歩道用透水性舗装材の実証試験でありました。今回の試験の目的は、前述の材料を実験室レベルの供試体ではなく、実際の施工を模擬した大規模供試体を作製し、材料の有効性を確認するというものであります。この研究の関しては、自分の研究室の同期が取り組んでいる研究テーマであり、日頃何度か一緒に実験を手伝ったことがありましたので、人一倍成功してほしいという思いがありました。そうした中で現場での作業は困難を極め、想定外のことばかりが生じましたが、何とかみんなで力を合わせて、当初の目標を達成することが出来ました。ただ今回の実施工実験によって、いくつかの改善点も出てきたと感じているので、今後はその点を考慮したものを設計すれば今よりもっと良いものができると確信しておりますので、実り多い実験になったと感じております。今後も1日1日を大切に実り多い日々を過ごしていきたいと思います。

とおっしゃっておられます。
立志伝中の方と教わった稲森和夫様が財団をおつくりになり、世界の為になり人間の幸の為の京都賞をおつくりになっておられる、素晴らしいことだと思いました。このお話を聞くことの出来た奨学生を羨ましく思いました。ありがとうございました。



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