平成29年2月16日A
公益財団法人 壽崎育英財団の奨学生の皆様へ
理事長   寿崎 肇
 

年が改まりました。新年おめでとうございます。私は新年早々からインフルエンザにかかり仕事の面で大変ご迷惑をおかけしました。日頃相手の喜ぶことをやり続けることが、長い間ご恩になった世の中で、ささやかなご恩報じになる、と相手の喜ぶことを探すようにして生活をして参りましたのに申し訳ありません。「用心は臆病にせよ」と習ったのにそれを忘れてしまった結果でした。私の失敗を繰り返しませんように用心してください。

最初の方の報告は「人体解剖」の授業からです。

○この授業は朝9時から始まり、夜は20時、遅い時は21時頃まで実習をしています。解剖台に前かがみの状態で解剖していることが多いため、体力と腰痛との勝負です。暗記することも、とても多く毎週のように試験があり大忙しな毎日を送っています。解剖実習室には窓がないので、昼休みの後は「いつの間にか夜がきてる!?」という感覚です。家に帰ったら、ベッドにバタンキューという日も少なくありません。ホルマリン(防腐剤)で手をシワシワにしつつ頑張っております。やはりご献体となって下さった方々やその家族の方々のことを想うと頑張らざるを得ないと思います。医師になるためには必ず通らなければならない関門の1つである「解剖」。「解剖」が始まったら、もう後戻りはできない。これから君達は、そのご献身の方の想いも背負っていかなきゃいかんからや。立派な医師にならんといかん義務と責任が生まれる」「解剖室の先生は、ご献体です。ご献体が全く正解です。教科書は参考です。私はあくまで手伝いをするだけ。隅々まであますところなくしっかり解剖し学ぶこと」という教授の言葉が最近ますます重みを増してきている今日この頃です。ようやくメスの扱いにも慣れてきて、コツをつかんできました。実は先月、1年時の教養(共通教育。いわゆる一般教養のことです)の成績が医学部で1位だったことで表彰されたのですが(図書カードがもらえました。嬉しかったです)それを励みに、今後の勉強も頑張ろうと思います。(解剖学だけでなく生理学とか免疫学とか・・・)こうして私が勉学に励めるのも奨学金あってのことです。毎月ありがとうございます。

と結んでおられます。解剖は献体なさった方。ご家族の想い。執刀なさる研究者の方のお気持ち。理解は難しゅうございます。私のような年寄りでも解剖してお役に立てるなら、喜んで献体させて頂きたいな、と思います。ありがとうございました。


次の方は母子家庭で奨学生のお母さん。子供さんも高校3年生。この近況報告から察しますと母は子供のことが心配。娘さんは親孝行をしようと母の喜ぶ為の勉強をしておられ母に驚くこと、母の見えない時に努力しておられるよう。うるわしいお母さんの報告です

○私は母子家庭世帯で娘と2人で暮らしています。前、娘が学校に行ったり、行かなかったりの時もあり、その娘も高校3年生になりました。娘の趣味は韓国のアイドル歌手の歌や映像を見ることです。趣味が広がり韓国語にも興味を示しています。今ではゆっくりした話は聞き取りが出来て簡単な会話もできます。今夏の成績までが高校3年間の評定となるということで、一学期末は目の色が変わっていました。珍しく英検も受けると言い出し何級を受けるのかも確認せず、受験料を持たせました。学校は、あまり休むこともなくなりました。娘の登校が続くようになったのは、私が日中家に居ないようになったことも一因ではかいかと思います。私は5月から就職へのステップとして職業訓練を受けることにして今も通っています。通常勤めに出る時間に始まるので、朝ばたばたと出ていきます。もちろん子供に構っている暇はありません。今までは家に居て休みがちな娘に寄り添っていました。しかしこのような生活をしていても悪循環で、お互い良い結果とはなりませんでした。私はどこかで腹をくくりました。「娘の人生は娘に考えさせよう」と初めの頃は、身を切るような思いでした。朝起きれない娘を置いて訓練に向かう日もありました。話は戻りますが、夏休みに入り娘の三者面談が始まりました。この面談で最終的な進路を決定しなければいけません。担当の先生から成績を渡され、成績に目をやると驚く程、成績が上がり、私と娘が先生に「英検準2級も合格です。学校推薦が受けられます。よく頑張りましたね。」と伝えられました。昨年まであれだけ休みがちで、授業もついていけない状態でした。本当に信じられないことが起こりました。娘の成績は学校推薦を受ける評定基準をこえていること、そして英検準2級を取得したことも条件の1つ。それと3年時の成績の伸びが何よりも本人の努力と認めていただいたようです。娘は得意の語学を学び日本と外国の架け橋になるというのが夢です。その為に志望する大学は語学を専攻できる大学となります。英語を選択するか、アジア圏の語学を専攻していくのか。幸いどちらも推薦してもらえるようでしたが、子供はアジア圏の語学を学びたいと意思表示しました。娘にいつ勉強したのか聞くと、学校が終わった後残ってやったり、私が寝た後こっそり勉強したと言いました。英検準2級も隠れて勉強していたようです。娘と私の登校に関する戦いは中学1年の頃から6年続きました。もうこの子はダメかな・・・。私の子育てが間違いだったのか・・・。2人で誰も居ない土地に引っ越そうか、いろいろなことを考え悲観的に立ち上がれない日もありました。今思うと娘は私に何でも1番に報告してくれました。私に喜んでもらおうと陰で努力していたことも初めて気づきました。私も娘を信じていました。いつかいつか笑って話せる日が来る。そう思っていたので、ここまで頑張れました。「機が熟すまで待つ」といいますが、まさにこの言葉どおりだったと思います。途中で諦めないこと、愛情を注ぎ続けること。それも近かったり、遠かったりすることも必要でした。娘の受験は11月です。体調管理をして、親娘で受験という大きな山を乗り越えていきたい。

とおっしゃっています。何か涙ぐましい物語のようにして読ませて頂き、写させて頂きました。親の愛情の素晴らしさ。私もこのようにして育てて頂いた母親はこの世には居ません。今になり母の愛情を頂きながら申し訳なかったお許し下さい、とこの近況報告を読ましていただきながら心に刻まして頂きました。ありがとうございます。


次の方は大学の寮での食事のアルバイトをやっている方です。では、

○私は1年生の頃から大学での寮で食事を作るバイトをしています。バイト内容は皿洗いから始まり、お味噌汁を作ったり、おかずを作ったりしています。時の過ぎるのは早いもので気がつけば自分が学生内で一番長く働いている、バイト生となりました。振り返って見ると一年生の時には野菜を切る作業にも長い時間がかかっていましたが、今では半分以下の時間で済むようになりました。また時間の使い方も上手になり、進行具合をイメージしながら要領よく調理するなど自分の成長を感じることが出来て嬉しく思います。今月からは2人のバイト生が新しく入ってきました。私はバイトの先輩として指導を任されました。2人に仕事内容を言葉に出して教えるなかで、自分が分かっていたつもりになっていたことを確認することができました。人を教える立場に立つと、今まで見えてこなかった部分が分かります。今回の事で、自分が成長できる部分に気づくことができました。2年と半年は長いようでいて短く、自分の力を伸ばす余地がまだまだあることを嬉しく思います。また新たな取組みとして学んだことを自分の中にだけ留めるだけでなく、皆と一緒に成長できるように情報の共有をして学びを増やす仕組みを作りました。日によってはメニューが変わるので食物の取り扱いや調理法が異なってきます。1人で全て学ぼうとすると、途方もない時間がかかり指導して下さる社員さんも人が変わるたびに同じ注意をして指導していかなければなりません。個々が学んだことをバイト生の間で共有していくことで、作業能率が上がり、それぞれの学習意欲の向上にもなります。加えて試行錯誤を経験し自分達の努力の証を残すことで、より良いものが新しく入ってくるバイト生や、その次の代へと繋がると良いと考えます。今後も勉学に励みながらアルバイトを頑張っていきたいです。

とおっしゃっております。人の上に立つ人の基本的な考えを覚えて実施しておられます。ありがとうございました。


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