令和元年12月13日
公益財団法人 壽崎育英財団の奨学生の皆様へ
理事長   寿崎 肇
 

年末を迎えました。師走です。お変わりございませんでしょうか。お伺いいたします。ワールドカップも思い出になりました。色々な試合をテレビで見させて頂きながら色々と感じさせられました。試合は勝ち負けです。稽古を多く積んだ者やチームが勝っているようでした。昔、茶の湯の元祖千利休居士のお詞「稽古とは一より習い十より還るもとその一」何度も繰り返せ、と私は理解しております。練習の少ない方が負けているように見受けます。勝敗のついた時、ついこの詞は口をついて出ます。奨学生の皆様長い今からの人生です。俗に言われているのが人生100年。これこそ世の為、人の為に役に立つことを始めましたら失敗をのり越え、千利休居士のお詞を繰り返して下さい。失敗も苦痛の成功のもとです。

最初の方はワールドカップで座席案内のスタッフとしてアルバイトをなさった時の思い出です。では、

○夏休みが終わると試験の月でした。九つの試験があり、どれも重要な科目なので緊張した日々を過ごしました。その中の1つに生体構造論というものがあり、体の中の内臓や消化管の構造・役割を詳しく学ぶ科目です。血糖ひとつをとってもたくさんの器官や細胞レベルでの情報伝達があってヒトの体の緻密さや生命の素晴らしさを感じました。こういった細やかな仕組みを理解しておくことで実際の医療の現場で治療の意味や目的がわかり、より患者さんに合わせた看護が提供できると考えております。ラグビーワールドカップのアルバイトです。大分でのラグビーワールドカップが開催され、ベスト8の快進撃をみせてくれた日本代表で盛り上がっていました。私は10月5日に大分で行われたオーストラリア対ウルグアイ戦で座席案内のスタッフとして1日だけアルバイトをしました。初めての仕事、たくさんの人に圧倒されましたが、外国人の観光客の方にも丁寧に対応できました。座席まで案内した後は、どの人も「ありがとう」や「サンキュー」などの声をかけてくださり、また試合終了後に客席のゴミを拾って帰って下さる方もいて、そういった方をたくさん見ることができ、とても心が温かくなりました。またスポーツマンシップのある選手、マナーの良い観客。会場を安全に円滑に回すスタッフなど、たくさんの人に支えられて、成り立っていることを知りました。「4年に1度じゃない。一生に1度だ」という今大会のキャッチコピーのように自分にとって貴重な経験となりました。

とおっしゃっておられます。
外国人であふれた大分と聞きました。そんなにマナーが良いとは初耳?失礼この頃発展途上国の話が多いからすみません、わざわざ日本まで母国の応援においでいただいた方々です。わたしも勉強させて頂きました。ありがとうございました。


次の方は大学院生、子どもさんを抱えてこの1年は成績トップの方の報告です。では、

○大学では6年生になってからずっと学年1位の成績を維持しています。国家試験のために皆さん1日10時間ほど勉強しています。私は2年生だった頃、その話を聞いて自分には子どももいるためそれは出来ないと思いました。それなら6年生になってもあわてなくても良いよう、少しずつ勉強していこうと思い毎日3時間隙間時間を見つけて勉強を続けてきました。気がつけば実力がついて長時間の勉強ができなくても成績を維持することができるようになっていました。もちろん子供には寂しい思いもさせました。同じ部屋には居ますが、子供と一緒に寝てやったのは数えるほどしかありません。でも子供がいたからこそ、このように毎日勉強をコツコツと続けられたのだと思います。私はこのコツコツとやる習慣は、最大の強みであることに気づかせてくれました。子供に感謝です。薬剤師になるまで気は抜けませんが、この5年間で子供にしてやれた事は、続ける背中をみせたことくらいです。国家試験に受かったら今まで捨ててきたこと、してやれなかったことを拾うように生活していきたいと思っています。壽崎さんには及びませんが、今は勉強だけですが、これからはもっと色んな方面で努力できる人間になりたいと思います。

とおっしゃっておられます。
書き写させて頂きながら目頭が熱くなって参りました。子供さんと一緒に寝てやったのは数えるほどというお母さん。してやれなかったことを拾うように生活するお母さんのお言葉。その方が学年1位の成績を維持。理事長としてどんなに申し上げて良いかわかりません。ただ凄い方だ。と同時に財団にとって誇らしい奨学生の壽崎育英財団だと思いました。ありがとうございました。


次の方、ゴールはスタートとおっしゃっておられます。一念発起こそ成功のもととも。では、

○先月のお手紙でも伝えておりました通り、教員採用試験の合格発表が10月11日に行われ無事合格しておりましたことをお伝えします。これまで看護科の先輩方で現役合格された方は数少なく私自身精一杯の努力はしてきましたが、心のどこかでダメだと思っていたのが合格だと知った時にはとても驚きました。また嬉しさと戸惑い、不安、いろいろな気持ちが湧きました。私は大学受験を失敗しており(今はこの大学でよかったと心から思っております)大学入学時大泣きをした記憶があります。努力を最後までし続けられなかったこと、先生方や親への申し訳なさ、いろいろな感情がありました。今の大学で頑張ろうと受容した時、私は私に1つの約束をしました。“必ず次は教員採用試験に合格して嬉し涙を流す”ということです。初志貫徹で一年生のころから今まで看護学も教育学も頑張り続けることができました。嬉し涙を流している自分がいました。ここまでこられたのは親・先生方・友人・理事長などさまざまな人の支えがあってこそ。このご恩は社会に還元していきます。ゴールのようでここがスタートです。目の前の看護師国家試験に合格するのはもちろんのこと、自分の知識・技能を高めていきたいと思っております。

とおっしゃっております。
おっしゃるように初志貫徹です。これは“人生100才停年”の今こそ利他と無私の人生であって下さい。私の経験ですが、利益はお客様の満足料。世の為、人の為に尽くすこと豊かな人生を過ごせます。ありがとうございました。


次の方は香港でのボランティアの報告です。では、

○現状報告ですが、昨週は香港に住んでおり、児童の糖尿病を防ぐ活動をしている香港の青年団と国際交流をする機会がありました。彼等と趣味の話、仕事の話、将来の話をしましたが一番印象に残ったのは現在の香港で行われているデモの話をしたことです。彼等は「出口が見えない。終わりが見えない」と私に話をしてくれました。非常に印象的で、私も何かできることがないか模索しています。早くデモが収束し、元の明るい人情味あふれる香港の街になってほしいものです。

とおっしゃっておられます。
テレビを見ていましてデモは鎮圧しなければならないものかと考えさせられます。ありがとうございました。


次の方は癌を血液から検査について特許出願をなさった大学院生の方の報告です。では、

○9月の日本癌学会での研究成果発表にひきつづき今月は東京で行われた癌の研究会において成果の発表を行ってまいりました。少しずつ成果の刈り取りがはじまってきたこと、またそこから新たな研究のはじまりを感じます。また現在の成果の一部を特許出願しました。癌を血液から検査するキットに関するもので、もちろん実用化にはまだまだ時間のかかるものですが、私がいつも心に忘れずもっている「人類の健康に貢献する」ということに少しでも近付けたのではないかと思います。小さな者ですがチームの一員としてまた頑張っていきたいと強く思います。来月上旬には、国の研究員となるためのヒアリングのために東京に行きます。とにかく頑張ることが多いのは喜ばしいことであります。

とおっしゃっておられます。
人類の健康に貢献するというご自身の人生の目標、人ごとでなく私の為ともおっしゃって下さっているものと思います。今の世100才まで人生です。お体には十分お気をつけになり益々お元気で研究の鬼となり、ノーベル賞の頂ける誇り高き日本人であることを心よりご祈念申し上げます。ありがとうございました。

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